文章の要件
突然ですが、あなたは書きやすいレポートとそうでないレポートの違いを感じたことはないでしょうか。
これは気のせいではありません。レポートには、あまり壁にぶつからず完成するものと、何から何まで壁に衝突してしまう2種類に分けられます。
なぜこのようなことが起こるかと言うと、文章ごとに存在する「要件」によります。要件が変われば文章作成の難易度は変わるので、なかなか文章が進まないのは、あなたがその要件を苦手とするためです。
ここで、「要件」という言葉について説明します。
要件とは「目的」であり、「コンセプト」を指します。
世の中には、レポートの他にも「感想文」や「報告書」といった様々な文章があります。これらの文章の違いはすべて要件の違いに起因しており、要件が違えばまったく別の文章になることが理解できると思います。
そして、レポートの中にも、要件の違いは存在します。一口にレポートと言っても、要件の違いによって2種類のレポートに分けられます。
これはレポート課題によって決まり、次のように大別できます。
説明が要件
論述が要件
このように大学通信教育には、2種類のレポートが存在することになります。説明と論述の違いは後述するとして、まずは両者の見分け方から解説していきたいと思います。
レポート課題の末尾に注目する
レポート課題の内容は千差万別です。
ただ、末尾に注目すると、たった2種類しかないことが分かります。日本語の場合、直接的な指示は文章の最後にくるため、課題の末尾を見ることでレポートの要件を区別できます。
レポート課題の末尾は、「〜について説明しなさい」と「〜について論じなさい」という2つに大別できます。
前者の「説明しなさい」は、ある物事の様態について一通り述べる指示となります。正しい情報を過不足なく述べるため、誰が作成して同じ内容になるので、難易度は高くありません。
そのため、総合教育科目に多いという特徴があります。「〜について述べなさい」という末尾もほとんど同じ意味で、こちらに分類されます。
後者の「論じなさい」とは、具体的な問いの下で議論を進め、解答する指示となります。ある事実に対して考察を加える際、独自の視点やアプローチを定める必要があるので、難易度は高くなります。
そのため、専門教育科目に多いという特徴があります。「〜について考察しなさい」や「自由に述べなさい」という末尾もこちらに分類されます。
このようにレポート課題の末尾に注目することで、レポートの要件が分かり、方向性を見極めることができます。今までなんとなく感じていた、書きやすいレポートと書きにくいレポートの違いを理解できたと思います。
説明型レポートと論述型レポート
ここまでの内容をもとに、レポートを要件によって分類していきたいと思います。
まずは、総合教育科目に多い「説明」を要件とするレポートですが、このようなレポートを「説明型レポート」と呼びます。
説明型レポートでは、レポート課題により指定されたテーマについて一通り述べます。テキスト内容をきちんと理解し、過不足なく述べることが重要なので、自分自身で内容を考える必要はありません。
レポートの形式やルールを抑えた上で、適切な文献を見つけることができれば、誰でも合格できるレポートだと言えます。
一方、専門教育科目に多い「論述」を要件とするレポートもあり、このようなレポートを「論述型レポート」と呼びます。
論述型レポートでは、レポート課題の範囲で自由に論じ、何かしらの結論を導きます。「自由」に論じると言うと勘違いしがちですが、テキストや文献内容から生じた疑問点に対して考察を加えるので、説明型レポート以上に深い文献理解が求められます。
また、結論を導くため、論述に伴う様々なルールを理解しておく必要もあります。
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