初学者は論述ができない理由

レポート初学者は論述を行うことができません。

 

論述とは正しい方法で議論を行い、具体的な結論を導く文章ですが、初学者の場合は右に左に話がブレ、何が言いたいか分からない文章になります。

 

よくあるパターンとしては、用語の説明に終始したり、関係ない話に飛躍するなど、意義ある展開とならず、うまく結論に繋げることができないことが挙げられます。

 

このように、初学者が論述を行うのは至難の業です。

 

ただ、この理由は決まっています。

 

問いを設定していないからです。

 

結論を導くには、前もって問いが存在する必要があります。さらに、問いの内容をどれだけ限定できるかどうかで、書くべき内容が定まってきます。

 

このように問いは非常に重要ですが、多くの人はテーマと混同し、問いを設定せずにレポートを書いています。

 

ただ、これらはレポート上の役割がまったく異なります。

 

したがって、テーマだけでは論述を行うことはできない理由から、理解を進めていきましょう。

論述を可能にする「問い」

テーマとはレポートの題材です。レポートで扱う中心的話題であり、述べるべき範囲を示します。

 

テーマはレポート課題から設定します。

 

例えば、恋愛小説について論じる場合、「ロマンチックな恋」というテーマが成り立ちます。これにより、「作中の恋について述べる」という大枠が決まります。

 

ただ、これだけで書き始めることができるかと言ったら大間違いです。

 

作中に描写されたロマンチックな恋のうち、何を論じれば良いかが分からないからです。実際に、単に恋模様を示せば良いのか、それとも恋の苦悩を示すかなど、無数に考えられます。

 

また、それらを示したところで、果たして何について議論したことになるかといった点が、テーマからでは定まりません。

 

こういった先のことを考えず、延々とロマンチックな恋について述べただけの文章には、レポートとしての意義はないので、当然不合格で返却されます。

 

ただ、「なぜロマンチックな恋に依存したか」という問いを立てたらどうでしょうか。

 

これにより、ロマンチックな恋に憧れた経緯について、社会学や心理学の見地から科学的分析を行うことができますし、歴史的文化的背景から考察を加えることもできます。

 

その結果として、「ロマンチックな恋」というテーマにおける論述が可能になります。

 

このようなわけで、論述を行う際はテーマだけでは十分でなく、具体的な論点が必要になるのです。

述べたい内容から逆算して問いを設定する

このように、テーマと問いでは役割が全く異なることを理解できたと思います。同じテーマであっても、的確な問いの存在によって、一段階も二段階も掘り下げて述べられるようになります。

 

それでは、最後に、どのように問いを設定するかについて解説していきます。

 

問いの基本は、「端的な疑問文」で表記することです。

 

あまりに長々としていると論点が見えづらいですし、そもそも疑問文で投げかけないことには答えを導けないからです。

 

このような基本ルールを認識した上で、問いの作り方を教えます。

 

まず、問いはテーマから設定します。体言止めであるテーマを疑問文にして、無理やり問いに変えてしまうというのが、最初に行うことです。

 

もちろん、これだけでは十分ではありません。先の例でも、ただ疑問文化するだけであれば、「ロマンチックな恋をしたか?」という、単なるイエスノー・クエスチョンになってしまいます。

 

これでは論理的な解答とならないので、次に考えることは、「なぜ」や「どのように」といった疑問詞を付け加えることです。

 

これにより、「なぜロマンチックな恋をしたか」という問いができあがります。

 

これだけでも一応始めることはできますが、問いかけが大雑把な分、答えの範囲が広まります。範囲が広ければ、当然個々の内容は浅くなります。

 

そこで、結論から逆算して、どのような内容を答えたいかを考え、これに対応する形に調整していきます。

 

今回の場合であれば、「抑圧された欲求が爆発した」「子供時代の境遇が作用した」という趣旨の結論を導きたいと仮定したため、「依存」というネガティブな用語を選択しました。

 

このような思考によって、「なぜロマンチックな恋に依存したのか」という問いが完成します。


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