考察の要不要の判断基準
これから書くレポートの内容について最初に考えることは、テキストの内容をベースに説明をするだけで良いか、それとも考察により解答を出すかといった点になります。
要は、考察まで必要になるかどうかということですが、これにはある判断材料があります。
それが、レポート課題です。
レポート課題の語尾に「考察を加えて下さい」と指定されていれば明らかですが、それ以外にもレポート課題の内容によって、考察の要不要は判断できます。
レポート課題で問われている内容が、テキストに明示されている内容であれば考察は不要ですし、テキスト内容に自分自身の解釈を踏まえなければならないかであれば考察は必要です。
簡単に言ってしまえば、テキスト外の内容を含むかどうかです。
よくあるケースは、具体例を挙げてそれについて論じるという課題です。
自分自身で見つけてきた具体例なので、テキスト外の内容を含みます。その具体例の中に、テキスト内容がどのように見られるかを考えるため、文字通り考察が必要になるのです。
「テキスト外の内容」とは何を指すか
このようにレポート課題は大きく分けて2種類あります。考察の要不要はこの区別と関係しており、テキストに明示されているか、テキスト外の内容を含むかで判断するのです。
そこで、これらの判断基準について詳しく説明していきます。
簡単に言えば、原則的な内容であり、個別的な内容ではない場合です。このような場合は、テキストに答えが載っているので、それに沿って述べていきます。
例えば、「選挙制度について比較しなさい」という課題であれば、選挙制度の原則が中心となります。まさか選挙制度について載っていないテキストはないはずなので、考察は不要になります。
一方、「選挙制度の問題点について論じなさい」という課題であれば、話は変わってきます。選挙制度の問題点自体は原則的な内容なのでテキストに載っていますが、この課題ではそれに対する自身の解釈を述べる必要があります。
当然ですが、解釈の方法や内容まではテキストに載っていないので、ここで考察が必要になります。
考察の視点の定め方
このように、テキストに答えが載っているかどうかで、考察の要不要を判断することができます。「自らの視点で論じる」という視点が必要かどうかと考えると分かりやすいと思います。
最後に、どのようにして考察を行い、論述として成立させていくかについて解説していきます。
先の「選挙制度の問題点について論じなさい」という課題があるとします。
この課題の特徴は、選挙制度の問題点を挙げて終わりではないことです。テキストに載っている問題点を説明した上で、そこから何を論じれば良いかまで考える必要があります。
最初の時点では、この点が非常に漠然としているので、まずは論じる内容を限定する必要があります。
そこで、視点を決めます。その視点から言えることは何かと考え、再びテキストに戻るという流れで勉強を進めていきます。
例えば、「死票が多く出る」という問題点があるとします。
そこで、この問題について論じるための視点を考えます。この思考そのものはテキストや文献には載っていないので、完全に独自で行う必要があります。
私であれば、「社会問題」をキーワードにして発想を広げ、「若者の選挙離れは、なぜ起こったのだろうか」などと問題設定します。
これにより、「死票が多く出る」→「投票者の声が充分に反映されない」という事実ベースの内容から、「若者の選挙離れ」というテーマで自由に述べることができるようになります。
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