事実から何が言えるか予想する
レポート課題の定番で、「〜について考察せよ。」という指示があります。このような指示では、何をどうしたら良いか分からないという人が続出します。
当たり前ですが、思ったことを述べるだけでは考察と認められないので、再提出になってしまいます。
レポートは、「テキスト理解の上に、自らの主張を述べる」ことが原則です。「テキスト理解→考察」という流れで進めるため、考察はレポートの必須要素であることが分かります。
そのため、考察の加え方を学ぶことは通信生は避けて通れません。このページで、考察についておおまかなイメージを掴んでほしいと思います。
「考察」には、「察する」という文字が含まれるように、「予想する」という意味があります。
そのため、ある事実からどんなことが言えるかを予想することが、考察だと言えます。
実際のところ、単に事実を述べるだけなら、誰でもできます。ただ、そこから的確に意見を述べるとなると、急に難しくなります。
レポートにおける事実とは、テキストや文献内容の説明が該当します。そのため、考察を加える際は、まずはテキストの内容を一通り説明します。
その後、テキスト内容に対して自分なりの気付きを述べるのです。
このことについて、例を挙げて説明します。
「鎌倉幕府の成立は、1192年という説の他に1185年という説がある。」という文は、単なる事実を述べたものです。
この事実に対して、「守護、地頭が置かれた1185年は頼朝の支配が始まった年なので、1185年を実質的に鎌倉幕府の始まりの年と考えることができる。」と展開することで、考察となります。
疑問点に対して「自分なりの推論」を行う
他にも、テキスト内容に対する疑問点を提示し、解決するパターンもあります。
レポートを書いていると、必ず疑問が生まれます。その疑問をネタとして、自分なりの推論を行います。
例えば、「学問と現代社会との関連を考察せよ」というレポート課題があるとします。この課題で考察を行うとき、最初に考えることは次の点です。
○学問+現代社会=学歴社会
○学歴社会の問題点から何が言えるか
○学問の限界
このように学歴社会の特徴を捉え、それは社会や文化のどんな要素を反映しているかを考えます。その答えとして、「学問の限界」に行き着きます。
次に、学問の限界が引き起こす問題を考え、視点を日常に引き戻します。「就活問題」にクローズアップすることで、次の具体的な問いを発見できます。
○就活問題はなぜ起こるのだろうか?
○学問には何ができるのだろうか?
最後に、この疑問に答えを出します。
このように、ある事実から浮かび上がってくる「自分なりの推論」が考察です。
考察には正解や不正解の明確な基準はありませんが、「自分なりの気付き」や「疑問の発見」という下準備をきちんと行うことで方向性が明確になり、高く評価されるレポートを書けるようになるのです。
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