レポートの公共性と客観性
このページでは、レポートの文章の特徴について総括します。
レポートが本来的に持つ性質として、
〇レポートは客観性を持った文章である
〇レポートは公共性を持った文章である
この2点が挙げられます。
まずは、公共性から説明します。
「公共性」とは、公に共通であり、皆に開かれているという性質であり、その程度を示す概念となります。この公共性は文章にも存在します。
レポートを提出するということは、自分の考えを大学に向けて発表することと同義です。このように言うと大袈裟に感じるかもしれませんが、レポートを書く者は少なくともこのような心構えを持ちましょう。
さて、レポートは多くの目に触れることが前提となるので、文章は公共性を持ちます。レポート課題に従うことはもちろん、「序論、本論、結論」や「問いと答え」など、レポートのルールを厳守する必要があるのです。
また、レポートは公共性を持つので、私見を述べる場ではありません。そのため、客観性も必要になります。
それは、「〜と思われる」や「〜と考えられる」という語尾に表れます。
「〜と思う」や「〜と考える」では一個人の感想に過ぎませんが、「〜と思われる」や「〜と考えられる」ではテキストや文献から判断される内容であることを意味します。
もちろん、内容が主観的なものではいけませんが、たったこれだけで客観性を高めることができるので、誰でも簡単に取り入れることができます。
客観的な考察に必要な視点
レポート課題では、自分なりの意見や考えが求められることがあります。
これが「考察」であり、主観的内容とならないよう特に気を付ける必要があります。
以下の視点を持つことで、適切に考察を加えることができます。
例として、次のレポート課題を見てください。
「自分自身の個性がどのように形成されたかについて、自分の生活史をふりかえって考察しなさい。」
この課題に対し、「事実から何が言えるか」を当てはめることで、「事実(自分史)を述べ、そこから言えることは何か」という視点が浮上します。
続いて、「環境と個性の相互関係」という考察のテーマを設定します。これにより、先ほどの視点は「自分の個性は、環境からどのような影響を受けたか」という問いに代わり、より具体的に考察の方向性を定めることができます。
その結果、次のような文章ができあがります。
私は少人数で行動することが多く、少人数で行動することに対して、自分と同じ意義を感じる友人を見つけ、その考えをさらに深めた。
したがって、私自身の個性形成の大きな影響は、学級という社会から受けたと考えられる。
1文目は「自分史」という事実について述べています。
2文目はこの事実に対して、「そこから何が言えるか」を分析しており、これが考察です。
考察の際は、内容が主観に寄り過ぎないように気を付け、語尾も「〜と考えられる」の形で結びましょう。
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