テキストがあるなか、なぜ参考文献を読むのか
レポートの勉強は、テキストや参考文献のインプットから始まります。最初にテキスト内容を要約し、不明点が具体的になったら参考文献のインプットに移ります。
このページでは、参考文献の目的に沿った選び方について解説します。
私のところには、参考文献に関する質問が多くきます。その内容は「何を読めば良いですか?」「何冊くらい読めば良いですか?」「通読する必要はありますか?」という表面的な疑問がほとんどです。
ただ、私が逆に聞きたいことは、「あなたは、なぜ参考文献を読むのですか?」ということです。この意識が抜け落ち、明確な目的がないまま読もうとしているので、このような質問が出るのです。
そもそも最高の参考文献は、間違いなくテキストです。手元に最高の文献があるなか、なぜ他の文献にあたるかを考えないといけません。
それは、テキストの補足です。
テキストに載っていない情報を入手するため、具体的な事例や掘り下げた内容を理解するために活用します。
つまり、「なぜ参考文献を読むのか」に対する答えは「テキストに載っていない内容のうち、自分の欲しい情報を探すため」です。読むこと自体が目的のテキストとは違い、文献は明確な問いを解決する手段となるのです。
参考文献を探す際の鉄則
とりあえず読み進めるテキストと違い、参考文献は目的を持って読みます。何のために読むかが定まっていないインプットほど、無駄な時間はありません。
この考え方を応用すると、参考文献を探す際の鉄則が浮かび上がってきます。
つまり、書店では文献数が少ないので、参考文献は大学図書館で探します。一般書には必要な情報が載っていないので、参考文献は学術書でないといけません。1冊では断片的な知識となりがちなので、包括的な知識が得られるよう何冊も読む必要があります。
このように目的意識に沿って考えることで、正しく参考文献を扱えるようになります。
ここまで読めば分かりますが、参考文献を読む際は、あらかじめ情報の的を絞らないといけません。
これは、テキスト理解が高まるほど如実になります。テキスト内容を踏まえてレポート課題の趣旨を把握できるので、文献で探すべき内容も具体的にイメージできるようになるからです。
ここまでして初めて、テキストに載っていない内容のうち、自分の欲しい情報を入手できるようになるのです。
書架の前の攻防
最後に、参考文献の探し方について実践的に解説します。
「日本の選挙について論じなさい」というレポート課題がある場合、初見の時点では、「日本の選挙」の何について論じれば良いか分かりません。すべてを論じることはできないので、テキスト内容をヒントにして重要な項目をピックアップします。
「民主主義との関係」「選挙制度一般論」「政治との関係」をピックアップしたら、このうち選挙制度と政治システムは密接に関連しているので、「政党」というキーワードが浮かび上がります。
このように、テキストはヒントを導いてくれますが、答えそのものは載っていません。この答えは文献から探します。
このとき、「政党」について漠然と調べても意味がありません。政党と選挙の関係に切り込んだ情報が必要なので、書架の前で手にとっては戻すという作業を繰り返します。
この「書架の前の攻防」の精度を上げるには、キーワードからさらに踏み込んだ「明確な問い」を設定し、それに対する答えを探すべく文脈を追う方法が有効です。
例えば、「政党は選挙を通じて何を実現できるか?」という具体的な問いを立てれば、その直接的な答えが載っているかどうかで、必要な参考文献かどうか判断できます。
この答えが載っている文献が見つかれば、レポートは合格したも同然なので、あとは他の文献との整合性を高めることに注力します。
このように目的に合った文献を探し、活用することで、参考文献はテキストの補足という目的を果たすことができるようになります。
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