通信生のタイプ分け
私はこれまでに何百人という通信制大学の学生を指導してきました。この経験から、通信制大学で成功できる人とそうでない人を見極められます。
入学から卒業まで独学で突き進む大学通信教育では、勉強環境と動機づけの両方が必要になります。時間があってもやる気がなければ意味がなく、時間がないことを理由に勉強しないことを正当化するケースもあるからです。
さらに言えば、独学に必要な動機づけは、通信生が置かれる環境によって様々です。通信制大学には10代〜70代まで混在し、モラトリアムの渦中の10代と家庭を持つ社会人では、アドバイスの内容も変わります。
そこで、通信生を以下のように3分割します。
・大学生世代の通信生
・働き盛りの社会人大学生
・生涯学習世代の通信生
このように勉強環境別にタイプ分けし、それぞれの環境で有効な動機づけについて解説します。
若いからこそ時間がないという真実
このページでは、「大学生世代の通信生」について解説します。
通信制大学には、高校後の進学先として通信制大学を選んだ「大学生世代の通信生」がいます。これは、普通の大学生と同世代の20歳前後の通信生を指します。
「大学生世代の通信生」の特徴は、圧倒的な時間的リソースと、多感期ゆえのコンプレックスです。この2つを正しく融合できた人だけが、大学通信教育を有意義に活用し、通信制大学を卒業していきます。
私はこのタイプだったのでよく分かりますが、通信生が直面する問題とは、若さゆえに卒業までの余剰時間がないことです。
どういうことかと言うと、通常のルートから外れているので、一年一年の失敗が重くのしかかります。そのため、「いつか卒業できれば良い」という選択肢を取ることができません。
実際に、キャリア形成という視点から見れば、20代前半と20代後半では、新卒の価値がまったく違います。せっかく頑張って卒業しても、大卒の市場価値が下がってしまうので、まさに本末転倒の事態となります。
最悪なのは、粘った結果「卒業できませんでした」というケースです。
私の経験上、今日行動できない人は、明日も絶対に行動できません。そのため、大学生世代の通信生に限って言えば、いつまでも逃げ続けるくらいなら、潔く諦めるのも合理的判断の1つです。
保険を作ると失敗する理由
このタイプの通信生には、日常的に勉強時間がある一方、無駄にできる時間がありません。これは、卒業できなかった場合の保険を持ち合わせていないことを意味します。
ただ、重要なことは、無理やり保険を作らないことです。私の経験上、大学通信教育に集中できた人が、最終的に通信制大学を卒業しています。
このように言うのも、大学生世代の通信生は、自らの境遇にコンプレックスを抱いていることが多いです。同世代の人が講義を受けるなか、自分には文献を借りる権利がなく、友人がサークル活動や飲み会に参加するなか、自分にはその環境がありません。
そのため、コンプレックスを抱くのは当たり前で、この逆境をバネにする人と本質を見失う人に分かれます。
後者は資格のダブルスクールを始めるなど、通信制大学を卒業できなかった場合の保険を作ります。ただ、現実的な資格ならまだしも通信制大学以上に難しい勉強を始めるので、完全に方向性を見失っているのです。
この時点で、通信制大学を卒業できる可能性は0%です。せっかく卒業できるエネルギー源を持っているのに、自分で蓋をしてしまっているからです。
エネルギー源とは、コンプレックスです。
上述のコンプレックスこそ、卒業の動機づけとなり、運命を手繰り寄せるエネルギーなのです。
このようなわけで、大学生世代の通信生は、卒業すると決めた以上は保険という考えは捨ててください。それよりもきちんと内省し、自らの精神構造を掌握する方が余程重要です。
それは、圧倒的な時間的リソースと、多感期ゆえのコンプレックスをコントロールする術を知ることです。
大学通信教育で有意義に学ぶというのは、こうした精神面も含みます。通信制大学を卒業するのは難しいことですが、通信生だけの学びも多いので、その意義を最大化してください。
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