通信生のタイプ分け
私はこれまでに何百人という通信制大学の学生を指導してきました。この経験から、通信制大学で成功できる人とそうでない人を見極められます。
入学から卒業まで独学で突き進む大学通信教育では、勉強環境と動機づけの両方が必要になります。時間があってもやる気がなければ意味がなく、時間がないことを理由に勉強しないことを正当化するケースもあるからです。
さらに言えば、独学に必要な動機づけは、通信生が置かれる環境によって様々です。通信制大学には10代〜70代まで混在し、モラトリアムの渦中の10代と家庭を持つ社会人では、アドバイスの内容も変わります。
そこで、通信生を以下のように3分割します。
・大学生世代の通信生
・働き盛りの社会人大学生
・生涯学習世代の通信生
このように勉強環境別にタイプ分けし、それぞれの環境で有効な動機づけについて解説します。
どこまで「卒業」にこだわれるか
このページでは、「生涯学習世代の通信生」について解説します。
通信制大学には、リカレント教育の一環として大学通信教育を受ける「生涯学習世代の通信生」がいます。これは、大学生世代でも社会人でもない、退職後の通信生を指します。
多くの場合、生涯学習世代の通信生の動機づけは、「学び直したい」という純粋な知的欲求です。勉強は手段ではなく目的であり、自己研鑽を志して大学通信教育を受けています。
彼らの特徴は、何と言っても、まとまった時間と精神的な余裕です。レポートを書くための時間が十分にあり、かつ目的意識も整っているので、長い時間をかけて卒業する人が多くいます。
このように、完全に自分のペースで学べる一方、通信制大学の勉強に対する緊急性がありません。また、勉強から長く離れているので、勉強内容を理解できず、合格ハードルに悩まされるという問題もあります。
そのため、自分の関心ある分野を深く学ぶことが一番の目的となり、通信制大学を卒業することは二の次になってしまう人もいます。
したがって、生涯学習世代の通信生は、どれだけ卒業にこだわるかがポイントです。
大学で学ぶという経験ではなく、大学を卒業することが人生でどれだけのウェイトを占めるかによって、底力を発揮できるかを左右します。
このように言うのも、生涯学習世代の通信生には好不調の波があります。集中して学べる時機にピークを持ってくることが重要なので、長期的な目で勉強を進める必要があるのです。
大学通信教育は最難関の生涯学習
生涯学習世代の通信生の最大の問題は、やはり勉強のブランクです。求められる水準は大学によって違いますが、ブランクが長いほど適応に時間がかかり、その間に心が折れてしまう人が多くいます。
そのため、通信制大学は生涯学習としては難易度が高く、1つずつ問題を解決する気持ちが大切です。カリキュラムがない通信制大学と言えども、年度ごとに学ぶべき内容はあるので、後回しにすると他の勉強を圧迫します。
例えば、英語の勉強は時間がかかるので、苦手な人は入学後すぐに適切なコーチの下で学ぶと良いでしょう。
このようにして、レポートに集中できる環境を整え、最初の1年間でできるだけ多くの経験を積んでください。未経験の分野に挑戦する場合、年々難易度は上がるので、成功と失敗の両方を経験しておかないといけないのです。
このように言うのも、2年後は既にノーチャンスかもしれません。通信制大学で学ぶには、自分自身だけでなく周囲の状況にも左右されるので、できるときにきちんと進めておかないと時すでに遅しなのです。
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