レポートにおけるコミュニケーションの方向性

文章におけるコミュニケーションの方向性

レポート初学者は、最初にレポートと他の文章の違いを把握しておくと、レポートの理解に役立ちます。

 

このページでは、作文との違いについて解説します。

 

レポートが普通の作文になってしまうのは、レポート初学者が遭遇する最初の壁です。レポートと作文には様々な違いがありますが、根本的には「対話であるかどうか」という点が大きな違いです。

 

レポートが学問である以上、問いに対して議論を行い、答えを出さないといけません。その意味で、レポートは根拠がある者同士の対話であり、双方向のコミュニケーションを取る必要があります。

 

このコミュニケーションの方向性こそ、作文との大きな違いです。

 

作文では自由に意見や感想を述べることができます。一方的に主張を行い、それに反論する者はいません。

 

したがって、コミュニケーションが一方通行であり、対話ではありません。

 

一方、レポートでは根拠がない主張やテキストのコピペはNGです。いずれも一方通行のコミュニケーションで、テキストとの間で対話を行っていないからです。

 

つまり、レポートと作文の根本的な違いは、文章に自分以外の視点が存在し、コミュニケーションが双方向であることとなります。

双方向のコミュニケーションを実現するレポートの文章

レポートは根拠がある者同士の対話であり、コミュニケーションの双方向性を持つということが分かりました。

 

この点を踏まえると、レポートは次のような文章になります。

 

対話では相手の意見を聞いた上で自分の意見を述べるので、レポートはテキスト内容をまとめた上で、自分なりに論じます。これは「テキスト理解→考察」という論述の基本的な流れと合致します。

 

このことからも、論述の根幹には双方向のコミュニケーションがあることが分かります。

 

自分なりに論じると言っても、「何について論じるか」が問題です。レポートに「話題」と「論点」が定まっていなければ、そもそも対話として成立しないので、これらを定めることが重要です。

 

話題とはレポートにおける「テーマ」であり、テーマの中の論点が「問い」です。

 

ここまで読めば分かりますが、この問いに答えることが、自分とテキストの間の対話となります。レポートに問いを設置し、テキスト内容に対して自分の意見を展開することで、双方向のコミュニケーションが実現するのです。

コミュニケーションに双方向性をもたらす「問い」

ここまで説明した双方向のコミュニケーションについて、具体例を挙げて説明します。

 

「世界の難民問題について」というテーマでレポートを書く場合、「何から書き始めれば良いだろうか。」「何の資料を集めれば良いだろうか。」という壁に突き当たります。

 

これらは、具体的な論点が抜け落ちているために起こる問題です。

 

このように、テーマだけでは論点が定まりません。そこで、テーマの中から論点を定め、答えを引き出す問いを設置します。

 

問いはテーマを「疑問文化」して作ります。

 

そこで、先ほどの「世界の難民問題について」というテーマを、「世界の難民問題事情から見て、現在の政策は適切か?」と変形します。後半の「現在の政策は適切か?」という疑問文によって、論点が具体的に浮かび上がります。

 

このように問いを設置すれば論点が定まり、レポートで対話が始まります。「〜なのだろうか?」という疑問文の存在こそ、レポートの文章の大きな特徴だと言えます。

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