レポートの文章が持つ性質である「公共性」とは?

文章の公共性

すべての文章には趣旨があり、固有の性質があります。レポートにも2つの性質があり、それを無視したらレポートに嫌われてしまいます。

 

そのため、レポートが持つ性質を理解し、趣旨に沿った文章を作成することが重要なのです。

 

レポートの文章には、「公共性」と「客観性」という2つの性質があります。

 

このページでは、「公共性」について説明します。「客観性」についてはこちらのページをご覧ください。

 

公共性とは「社会全体の利益」です。私たちが家の中で行っていることでも、家の外で認められないことがあるのは、場所によって公共性が変化するためです。

 

文章も同じです。文章の目的や宛先によって、文章の公共性は変化します。

 

この点について理解を深めるため、次の3つの文章を見てください。

 

友人間の手紙
教授に向けた暑中見舞い
私が配信するメルマガ

 

まず、友人間の手紙では、くだけた言葉を使ったり、内容が正確でなくても許されます。また、当人間で理解できる話題であれば問題ありません。そのため、友人間の手紙の公共性はかなり低いと言えます。

 

それでは、教授に向けた暑中見舞いはどうでしょうか。

 

大学の教授は研究機関の一員なので、友人間のようなフランクな話題は避け、暑中見舞いと関係ない内容は慎む必要があります。先程と同じ手紙でも趣旨がまったく違うので、公共性も高まります。

 

また、公共性が変化することで、内容だけでなく、表現も変わります。これに関して、私が配信するメルマガについて説明します。

 

基本的に、メルマガは面識がない不特定多数に向けた文章です。 そのため、友人間の手紙や教授に向けた暑中見舞い以上に内容を吟味し、表現に注意する必要があります。

 

このように、公共性によって文章の内容や表現が変化することを理解できたと思います。

公共性がある文章の特徴

公共性がある文章の特徴について説明します。

 

まず、分かりやすい表現であるという特徴があります。不特定多数に向けた文章では、様々な読み手が理解できるように配慮しないといけません。

 

たまに、難解な言い回しや意味不明の用語、読めない漢字ばかりの文章を書く人がいますが、このような文章は公共性が低いので、学校や会社では不適切となります。

 

そのため、レポートでは難しい表現を避け、分かりやすく記述する必要があります。実際に、「教授なら理解してくれるだろう」と考えてテキストや文献の時代錯誤な表現で提出すると、必ず平易な表現で述べるように指摘されます。

 

ただ、難しい内容を平易な表現で述べることは、意外と難しいことです。なぜなら、自分自身が本当に理解していないとできないからです。

 

逆に言えば、テキストや文献と同じ表現で記述するということは、十分に理解できていない証拠だと受け取られてしまいます。

 

このようなわけで、レポートを書く際は読み手が理解しやすい文章を意識することが大切です。

 

また、公共性がある文章は、論じる価値がある話題を扱っているという特徴があります。

 

例えば、当サイトは通信制大学の勉強について解説していますが、突然高校受験の対策について解説したら、違和感を持つと思います。これは、読み手に対する配慮が欠けているためです。

 

そのため、レポートでは客観的に論じる価値があり、研究機関である大学にとって有意義な話題を扱う必要があります。

 

また、レポート課題から逸れた話題もNGです。

 

例えば、「AについてBを踏まえて論じなさい」という課題では、一見するとAとBの両方が重要なので、これらに平等に分量を割きたくなります。

 

ただ、この課題を次のように捉え直すと、それが間違いであることが分かります。

 

「Aについて論じなさい。その際、Bについても言及すること」

 

このように捉え直すと、Aについて論じることが課題の主旨であり、BはAの補足に過ぎないと理解できます。そのため、Bに焦点を充てると課題から逸れたレポートとなり、公共性が低い文章になってしまうのです。

公共性がある文章の特徴のまとめ

レポートの文章の性質である「公共性」について簡単にまとめます。

 

分かりやすい表現か
課題と関係ない内容を述べていないか

 

以上がチェックポイントになります。

 

テキスト内容を深く理解し、課題の内容を的確に把握してください。これにより、公共性がある文章を書けるようになります。

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