通信制大学におけるレポートの位置づけと評価

通信制大学で評価されるレポートの特徴

通信制大学における講義はレポートです。レポートを書くことは通信生の勉強のすべてなので、まさに大学通信教育の象徴と言っても過言ではありません。

 

そのため、付け焼き刃で提出したレポートは、容赦なく不合格になります。何週間もかけて一本のレポートを作成することは、通信生にとって当たり前の日常なのです。

 

この点は、通信制大学以外の普通の大学との大きな違いです。

 

普通の大学では、レポートは習熟度を測る手段に過ぎないので、提出することが重要です。レポートについて学ぶ必要がないので質は問題ではなく、そもそも合否の概念すらない場合もあります。

 

一方、通信制大学のレポートは講義の代わりなので、学術論文としての質が求められ、大学通信教育における評価対象となります。

 

ここまで読めば、通信制大学におけるレポートの位置づけを認識し、評価されるレポートの特徴を学ぶことは必須であると分かります。

 

多くの人は、レポートは複雑で難しい文章だと思っています。そのため、やたら長い文章にしたり、わざと難解な言い回しにすることで評価が上がると考えています。

 

ただ、実際には真逆であり、簡潔で分かりやすく、誰が読んでも納得できるレポートがが評価されます。

 

このようなレポートが持つ性質は、公共性と客観性にまとめられます。

公共性と客観性

まずは、「公共性」について説明します。

 

「公共」とはプライベートに対置する概念であり、個でなく全体を意味します。そのため、「公共性がある」とは、全体の目的が優先され、多数の目を意識した状態を指します。

 

したがって、公共性がある文章とは、「多くの人に向けた文」ということになります。多数の目に触れるという前提に立っているので、それに耐えうる「明快さ」や「分かりやすさ」が求められるのです。

 

それでは、なぜレポートに公共性が必要なのでしょうか。

 

それは、レポートを提出することは、自分の研究成果を世の中に発表することと同じだからです。提出したレポートはあなたのことを何も知らない人が読むので、フォーマットやルールを守り、誰でも理解できる分かりやすい文章でないといけないのです。

 

次に、「客観性」について説明します。

 

客観とは主観に対置する概念であり、自分自身ではなく第三者がどう感じるかという意味を持ちます。そのため、「客観性がある」とは、正確性に加えて再現性が保証され、誰でも反証可能な状態を指します。

 

したがって、客観性がある文章とは、「説得力がある文」ということになります。「意見」や「願望」という主観ではなく、変えようのない事実を述べるので、「正しい内容」と「その根拠」が求められるのです。

 

レポートに客観性が必要な理由は、科学の基本的な考え方に答えがあります。

 

科学の世界では完全オリジナルの論考は認められず、必ず先行研究を参照し、その上に積み重ねます。自らの研究内容も後の人間の先行研究となり、これによって科学は発展します。

 

そのため、レポートでは正しい事実を述べることはもちろん、それが正しいと言える「根拠」を明記しなければなりません。これは出典という形で記載します。

 

通信制大学で評価されるレポートには「公共性」「と客観性」が必要になるので、「分かりやすく、根拠がある文章」を作成することを意識してください。

 

 

関連ページ

通信制大学のレポートの条件
通信制大学のレポートの条件について説明したページです。
レポートは議論である
レポートで議論を行う方法について説明したページです。
レポートの文章が持つ性質である「公共性」とは?
レポートの文章が持つ性質である「公共性」について解説したページです。
レポートの文章が持つ性質である「客観性」とは?
レポートの文章が持つ性質である「客観性」について解説したページです。
大学教育の目的を取り入れた論述の3要素
大学教育の目的を取り入れた論述の3要素について解説したページです。
レポートの文章を区切る重要性
レポートの文章を区切る重要性について解説したページです。
レポートは根拠がある者同士の対話である
レポートは根拠がある者同士の対話である理由について解説したページです。
レポートにおけるコミュニケーションの方向性
レポートにおけるコミュニケーションの方向性について解説したページです。

HP 通信制大学 レポート学 指導実績 メルマガ講義