問題提起と議論の方法
テキスト批評は「要約→問題提起→議論」という流れで進めます。これは「問いを発し、議論を経て、解答に至る」というレポートの流れと似ているので、テキスト批評を学べばレポートにも活かせます。
特に重要な点は、「問題提起」「議論」なので、これらに焦点を当てて解説します。
問題提起の際は、著者の主張内容を整理し、重要な箇所をピックアップします。
このとき、文章展開の原則を知っておくと役立ちます。一般的に、文章は「事実→根拠→推論」と展開します。
この点について以下の文章で説明します。
「発展途上国では人口が増加し、先進国では人口が減少している。100年前と比べてアフリカの人口は20%増え、ヨーロッパの人口は20%減少している。経済発展が最も人口抑制政策に効果があると考えられる。」
この文章の展開は次のように整理します。
事実:発展途上国では人口が増加し、先進国では人口が減少している。
根拠:100年前と比べてアフリカの人口は20%増え、ヨーロッパの人口は20%減少している。
推論:経済発展が最も人口抑制政策に効果があると考えられる。
続いて、どの文に対して問題提起するか考えます。
例えば、「発展途上国でも人口が増加していない国があるのではないか?」と事実を検討したり、「経済発展は本当に人口抑制政策に効果があるのだろうか?」と推論を検討できます。
問題提起したら、「賛成型」「反対型」「部分的賛成型」という議論の型に当てはめて議論します。
著者の主張に対して反論を反駁することで、最終的に賛成する
著者の主張に対して反論して、最終的に反対する
著者の主張に対して反論して補足することで、適用範囲を限定する
レポートとテキスト批評
次に、テキスト批評をレポートに活かす方法について説明します。
レポートはレポート課題から問いを設置します。その後、考察によって結論を導きます。
考察の際、テキスト批評が大いに役立ちます。
前述の通り、多くのテキストや文献は「事実→根拠→推論」という順序で展開されます。
そこで、いずれかのポイントに問題提起してレポートの論点を定め、先ほどの議論の型を適用して結論に繋げます。
例えば、「推論」に対して問題提起し、検討を行います。その後、部分的賛成というゴールに向かい、結論を導きます。
つまり、「経済発展は本当に人口抑制政策に効果があるのだろうか?」という問いを立て、それが当てはまる場合とそうでない場合を結論します。
考察において重要なことは、結論内容そのものではありません。それまでの過程であり、要するに議論の方法です。
そのため、テキストや文献内容を結論とすること自体は問題ありませんが、無批判に賛成するのではなく、きちんと根拠を述べる必要があるのです。
このようなわけ、テキスト批評によって、正しく考察ができるようになります。
関連ページ
- レポート初学者専用トレーニング
- レポート初学者が陥る文献の丸写しと文字数の水増しに対するトレーニング方法について解説したページです
- 双方向のコミュニケーションを取る方法
- 双方向のコミュニケーションを取る方法について解説したページです。
- テキスト批評というレポート勉強法
- テキスト批評というレポート勉強法について紹介したページです
- レポートをスムーズに完成させる方法
- レポートをスムーズに完成させる方法について説明したページです。
- 文献理解を促進する要約という勉強法
- 文献理解を促進する要約という勉強法について解説したページです。
- 最短で合格レポートを作成するための勉強の順序
- 最短で合格レポートを作成するための勉強の順序について解説したページです。
- レポートの成功パターンを作るアウトライン作成
- レポートの成功パターンを作るアウトライン作成について解説したページです。
- レポートの文章を自分の言葉で作成する方法
- レポートの文章を自分の言葉で作成する方法について解説したページです。